■参政党さんと「党議拘束」
党議拘束のもとでは、議員は政党の指示に従うだけの存在となり、有権者の声を代弁する自由な判断も行動も許されません。
たとえば、自民党では2005年の郵政民営化法案に反対した議員が刺客を立てられ、2015年の安保法制でも憲法学者の「違憲」意見にもかかわらず、誰一人反対できなかった。2023年の入管法改正でも同様に、異論は抑圧されて機械的に可決されました。
▼これが果たして「健全な民主主義」の姿でしょうか?
参政党においても、地方議員への党議拘束や、党内規約の一方的な改正、意見の異なるメンバーの離脱、情報開示の拒否といった動きが目立ち始めています。
神谷代表の強力な指導力に魅力を感じる人が多いのも事実ですが、それが「異論排除型」の体質と結びつけば、独裁化の危険性を孕むのです。
▼他国ではどうでしょうか。
アメリカには、党議拘束は実質的に存在せず、議員は地元有権者の声を最優先に投票します。
イギリスでも「党鞭制度」はありますが、信念に基づいた造反は許容される土壌があります。
ドイツは憲法に「議員は良心に従う」と明記し、拘束の濫用を防いでいます。
それに対して、日本では政党幹部数人の意向で国会の方向性すら決まるという実態があり、これは民主主義として非常に危うい状況です。
本来、参議院は「良識の府」として、政党の圧力を受けず、議員が独立した判断を下す場であるべきです。
しかし、そこにも党議拘束が持ち込まれれば、二院制の意義そのものが失われてしまいます。
私が懸念するのは、「強いリーダー」を掲げる政党がやがて与党になり、その党議拘束的体質が社会全体に及んでいくリスクです。
参政党が国民政党として成長すればするほど、「反対を許さない政治」や「情報統制された社会」へと進んでしまう可能性が否定できないのです。
誤解のないように申し上げますが、「参政党に投票するな」と言いたいのではありません。
ただ、その政党が持つ体質やリスクを十分に理解したうえで投票する覚悟があるのかを、自問していただきたいのです。
「情報統制もやむなし」と本気で思えるなら、清き一票を。
そうでないなら、最後にもう一度だけ考えてみていただきたく候。
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