■停戦失敗と断じる日本メディアの錯誤

昨日(8月16日)、米露首脳会談が終了した。
九龍颯大 2025.08.17
誰でも

ウクライナVSロシアの停戦合意には至らなかったものの、同会談で一定の「経済合意(アグリーメント)」が成立したことは、客観的事実として確認されている。

しかし日本の主要メディアは、成果を「停戦失敗」と一方的に報じ、全体を「トランプ大統領の敗北」という図式に押し込めた。

この単純化された構図こそが、国民に誤解を与える最大の要因である。

▼DealとAgreementすら区別できない稚拙報道

英語圏の報道は、「ディール(取引)」と「アグリーメント(合意)」を峻別して伝える。

前者は停戦や領土スワップのように双方が条件を交換する取引を意味し、後者は経済協力など具体的な合意を指す。

今回の会談で実現したのは明らかに後者であり、エクソンモービルのサハリン再参入や、米国によるロシア製砕氷船の購入がそれにあたる。

しかし日本の報道は「合意=停戦合意」と短絡的に解釈し、経済分野での実質的な成果を見落とした。

▼メディアに飼い慣らされた専門家たち

問題は翻訳の誤りにとどまらない。

この会談についてテレビで解説する「専門家」と称される解説者の多くもまた、評価軸を欠いたまま「停戦なき会談=失敗」と論じた。

ボクはメディアで、米国政治について解説する専門家の名前と顔を覚えている。

そもそも、彼らは2016年、2024年の米大統領選で、民主党の候補者(ヒラリー・クリントンとカマラ・ハリス)の勝利を予測し、トランプ氏の当選、再選を見抜けなかったような専門家たちだ。

予測を大きく外したにもかかわらず、今日に至るまで同じ人物がテレビで解説を続けている。

出演させ続けるメディア側の対応も疑うが、予測を外し続けても何事も無かったようにメディアに出演し続ける専門家たちの神経を到底理解できない。

実際に、メディアが喜ぶコメントを繰り返す専門家だけが、メディアに出演し続けている。

誤った予測や評価を繰り返しながら責任を問われない構造こそ、メディア解説の信頼性を失わせている。

▼反トランプを垂れ流すだけの劣化メディア

なぜこうした単純化と誤解が繰り返されるのか。

その背景には「アンチトランプ」という分かりやすい図式が、視聴率や販売部数を確保する便利な道具となっている事情がある。

事実の解釈よりも、観客に受けるストーリーが優先される。

米国民主党バイデン政権の影響が無くなった今でも「アンチトランプ」のストーリーが続くのは、日本のメディアの極左思考がそうさせているのだろう。

結果として、経済合意という重要な要素が報道から抜け落ち、国民は偏った情報だけを与えられる。

▼事実よりも偏向を優先する日本メディア

米露会談を「停戦失敗」と片付けた報道は、経済合意という現実の成果を看過した。

国民が「トランプはまた失敗した」と誤解するのは、トランプ氏の姿勢だけでなく、事実を正しく伝えなかったメディアの責任でもある。

今回のミスリードは、まさに経済合意を見落とす病理にほかならない。

ボクたち日本人は、一体いつまでフェイクニュースに踊らされ続けられなければならないのだろうか?

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